自律神経失調症と心身症・うつ・神経症の関係

自律神経失調症と心身症

自律神経失調症と同様の症状で、ストレスや心の問題が原因の病気は少なくありません。

そのため、いくつかの病気は混同されているようで、とくに心身症はその代表といえます。

 

心身症をわかりやすく説明すると、悩み、不安、不快、気がかりなどの精神的ストレスがひきおこす身体的な病気の総称です。

ただし、厳密にいえば病名ではなく、あくまで精神的なものが関与しているからだの疾患の病態名です。

心身症の症状は、からだのあらゆるところにあらわれます。

その状態によっては、胃潰瘍気管支喘息過敏性腸症候群過呼吸症候群片頭痛高血圧などの病名で呼ばれることも珍しくありません。

自律神経失調症をはじめ、その仲間にぞくする病気(自律神経失調その1参照)のほとんどが、この心身症といえるでしょう。

 

自律神経失調症と心身症との類似点と相違点

心身症には、たとえば胃潰瘍のように、からだの臓器などにはっきりと異常がみられる器質的障害と、検査をしても各器官に異常がみられない機能的障害の2つのタイプがあります。

 

一方、自律神経失調症は、検査で異常がみられないこと、原因や症状によっては心身症と酷似すること、さらに器質性の心身症は仲間であることなどから、ごく一部を除いては、広い意味での心身症といってもよいでしょう。

とくに、自律神経失調症のタイプのうち、心身症型のものは機能性の心身症の1つにあげられています。

 

自律神経失調症とうつ病・神経症

症状が似ている神経障害がある

自律神経失調症がうつ病や神経症とも混同されやすいのは、いずれもからだの不調だけでなく不安憂うつ感などの精神的な症状をともなうケースが多いからです。

これらの大きな違いは、精神状態が病的なものか、病気かということです。

 

心の異常は目に見えませんから、その判断は非常にむずかしいのですが、うつ病や神経症の場合は心の病気、精神障害に属します。ただし症状は非常によく似ていているようです。

 

抑うつ気分が長く続くうつ病

うつ病は、抑うつ気分や絶望感、不安、焦りなどで行動や思考が抑制される心の病気です。

いつまでたっても落ち込んだままで、何事にも無気力・無関心になり、意欲が低下するのが特徴です。

また、睡眠障害、疲労感、食欲不振、倦怠感、頭痛などの身体症状をともないます。

 

ときに、マナス思考に陥り、悲観的になって衝動的に自殺に走る傾向が見られるのも大きな特徴です。

うつ状態は代表的な自律神経失調症状の1つなので混同しがちですが、大きな違いは心身のエネルギー状態でしょう。

 

うつ病の場合は、極度に低下します。また、朝方に症状が強くあらわれ、夕方になると楽になるという、日内変動があります。

不安がカギととなる神経症

神経症とは、不安や心配などの心理的な原因から心身の不調を訴えるもので、正式名称は神経症性障害といいます。

かつては、神経症=ノイローゼでひとくくりにされていましたが、現在では細かく分類されるようになりました。

 

いろいろな神経症

〇恐怖症不安障害

危険性のない特定な状況や対象に強い恐怖や不安を感じ、様々な症状があらわれるもの。広場や雑踏、乗り物などに恐怖を感じる広場恐怖、集団の中で周囲の人から注視、批判されることを恐れる社会恐怖の他、高所や閉所などの恐怖症があります。

 

〇パニック障害

理由もなく突然に激しい不安に襲われ、ひどい動悸や窒息感、めまいなどの発作をおこすもの。発作は満員電車や混雑したところでおこり、このままでは死ぬのではないかと思うほどの恐怖心にかられる。発作は何度も繰り返され、外出ができずに家に閉じこもるケースがみられます。

 

〇全般性不安障害

身近なことに漫然とした不安を抱き、落ち着きのなさ、頭痛、動悸、めまいなどの症状がつづくもの。パニック障害のような発作はないが、不安の対象は次から次へと変わり、絶えず不安にとりつかれるようになる。

 

〇強迫性障害

強迫観念、強迫行為を何度も繰り返すもの。たとえば、すべてが不潔に感じて触れることができなくなったり、際限なく手を洗い続けたり、戸締りやガス栓を何度も確認したりするなど、度を越して繰り返すために日常生活に支障が出てしまうこと。

 

〇心気障害

少しでも体調がおかしいと、自分は重い病気だと思い込んでしまうもの。医師の言葉に納得せず、転々と病院を変える人も少なくない。症状は複数にわたることが多く、1人で苦しむ傾向がある。

 

〇適応障害

生活環境のストレスが重荷となって、不安、焦り、絶望感などが強くあらわれ、ときに攻撃的な言動をとることがあるもの。

 

〇急性ストレス障害

命に関わるような体験をした直後に、一時的に感情のコントロールができなくなり、神経が過敏になるもの。

 

〇心的外傷後ストレス障害(PTSD)

苦痛な体験などを強いたストレスが原因で、数週間~数十年後に症状がでるもの。

 

〇抑うつ障害

身近な人の死や事故などが原因でうつ状態に陥るもの。

 

*自律神経失調症と心身症、うつ病、神経症ははっきりと区別するのがむずかしい面があります。

心身症は臓器や器官に具体的な病状があらわれる時が多く、うつ病は心のエネルギーが低下して日内変動が特徴です。神経症は精神的な重症度が高い疾患と言えると思います。

小さな心身の変化に気づいて早いうちからケアしていけば、未然に防げるばあいも多いと思っています。

 

~薬に頼らない健康なからだを目指す~
自律神経専門治療院
ユナイテッド治療院 院長 市原 祐之
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